親守唄・歌会2014 入選作品集
ブルーな気分をかかえたままで 命がここにある そして息づいている 寝返りうてない 父のつらさを |
病室に行けば父がいて 命がふるえている 命がここにある そして息づいている |
作詩・作曲者:新屋まり(広島県山県郡)
*この夏、自分ではもうどうしようもないという気持ちで、すっかり気分が落ち込んでいました。その気持ちを抱えたまま、いつものように病室に父を見舞いました。父はとても安らかに眠っていました。寝息だけが聞こえる病室には静寂があり、そこにはまぎれもなく“命”があると感じました。あれこれと思い煩う自分が小さい存在に思えました。生きているだけで素晴らしいと父の姿が教えてくれました。そして、父の命は私を励まし、今でも守護してくれていると強く感じました。その瞬間、八方ふさがりだった気持ちが深い悦びに変わり、父から命をもらっていることに感謝の気持ちが湧きました。その思いを歌に込めました。
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静かに おだやかに それでもなお母の慈愛は 私に何ができるのだろう 母の「変わらぬ笑顔」と |
あなたの娘で本当によかった 壊れてなお 祈るしかできない私に |
作詩者:福井恵美子(奈良県天理市)
*認知症を患い、今では介護度5の認定を受ける母を父といっしょに10年間介護しています。今は、在宅での看取りに向けて、毎日母との時間を大切に介護しています。この詩は、まだ母が私を“娘”と認識できていた頃に書いた詩です。今は、“認識”も“言葉”すらも失ってしまった母ですが、今も「この時の母への想い」は変わっていません。
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漣寄せる 心の渚に 瞬く星の囁きに合わせ 夕日を受けて 手を振り続ける |
やがて沈むと知りながら |
作詩者:今村浩人(茨城県つくば市)
*私は昭和13年生まれで76歳になります。生まれてからは戦争の色濃い時代でした。その後、日本は繁栄したものの、次第に別な不安定な世の中に変わりつつあるように思います。必ずしも昔の方がよかったとは思いませんが、私の考え方が今の比較的若い世代の方に理解されないところが多いのではないかと感じます。ずいぶん前に母を亡くしましたが、十分なことをしてあげられなかったことが今でも悔やまれます。今となっては、母が残した言葉を活かすことがただ一つの慰めと思います。このページの先頭に戻る▲
母の口癖 顔を見るといつも 何度聞いたか |
母の日頃の心配りに 母の問いかけ |
作詩者:前田雄二(大阪市東住吉区)
*母が50歳の時、父が病死し、女手一つで4人の子どもの成長を見守ってくれました。私自身は好き勝手なことをさせてもらい、30年間仕事の関係で親元を離れていて、満足な親孝行もできませんでした。4年前から独学でウクレレをはじめ、オリジナル曲を作り楽しんでいます。そこで何か母への唄を作り、感謝の気持ちを伝えたくて想いを詩にしました。このページの先頭に戻る▲
おやすみなさい 大丈夫だから |
おやすみなさい 心配しないで 忘れないでいるから |
作詩・作曲者:村松正敏(群馬県桐生市)
*3年と2ヵ月余り、母は癌と闘いましたが、昨年の7月に他界しました。自宅で何とか介護をしていましたが、癌が転移し、最後は入院することになりました。母の回復をひたすら願っていたあの頃の気持ちを歌にしました。この歌は、天国の母と父が私に作らせたものです。「一人でも生きられる、あんたなら。しっかり生きなさい」 母の言葉を胸に、両親に届くように歌います。
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